プレステエミュのF1並みの加速度的進化の歴史は,再びアクセルを踏んだ。沸き立つ排気ガスと轟音,PCのCPUの止まらぬ回転数を従えて,夢と希望と理想をすべて実現してきたプレステエミュは,PCサーキットでのゲームエミュの存在意義をかけて,ファイナルラップにさしかかる!
米ブリーム社は10日,プレステエミュレータ「ブリーム!」の店頭販売を全米で開始した。「ブリーム!」はプレイステーション用ゲームをウインドウズ95/98上で動作させる。4月に,米ソニー社が販売差し止め命令を請求したが,サンフランシスコ連邦裁判所に棄却され,ベータ版をオンライン販売していた。
これで,商業的に店舗販売されたゲーム機エミュは米コネクティックス社のヴァーチャル・ゲーム・ステーション(VGS)に続いて2つ目。その2つともがプレステで,いまだ現役バリバリ,シェア首位の製品だから,ソニーの訴えもわからなくもない。2月のマックワールドエキスポ/東京では,米アップル社の暫定CEOのスティーブ・ジョブズが,VGSを日本でも夏か秋に発売すると発言して話題になった。だが現在,VGSは4月22日に連邦地裁から出荷差し止めの裁定が下され,現在審議中。店頭には並んでいない。一度は販売差し止めが棄却されたブリーム!だが,一筋縄では行かないだろう。
今から1年ほど前,いろいろなところでプレステのエミュがあるっと話題になった。皆の声は,またまた〜と一向に信じる向きはなく,そんなことがあるわけがない,あったとしてもまともに動く代物ではない,ということに落ち着いてしまった。わずか1年で大きく状況は変わってしまった。さて,ブリーム!が日本の店舗で販売される日は来るのだろうか。尊い趣味の領域だったゲーム機エミュが大きく下ってきて,果たして代替マシンとしての自由を得ることができるのだろうか。
|